高校時代 その八 Richness
高校生に、お金のお話をするってか?
うーん確かに、高校生にとってはどうでもいい話しでしょうね。でも、そんなどうでもいい話はどうでもいい時に聞いておくことも大切かと思います…。
少なくとも前もって聞いておけば、志高き青年医師となった暁には、そんなどうでもいい無駄な時間が短縮できますし、そして妙な計算高さも無くなる…、
経験上、少なくとも50%の確立で、精神的には楽になるのではなかろうかと思うのであります。
さて、そんな神田でございまして、
もう2000余年もの間、自分の軌道に金星が入ってこない小生が言うのも何なんですが、
そしてつい最近も、ハンドオフしながら走り去った金運を必死に追いかけた小生が言うのも何なんですが…、
物事を尺度で表すとすれば、お金という単位ほど分かり易いものは無いのでございます。
ですから、高校生が「前もって騙されるべき」、小生的な取れ高の概論(妄論)について、少しだけお話することにいたします。
医療経営におきましては、念を押された時に、フムフムとか、マアねとか、ウームとか…、「本音 with ドヤ顔」で勝ち誇ることだけは、大人として(もちろん子どもでも)慎みたいと思っております。
しかしそれでも、お金事に関しては、こちらの物分かりが悪いかの如く叱責される、そんなこともままあることでございまして、そんな時は、焼きたてのお好み焼きに激しくコテを突き立てたい気持ちになることも必定あるのです。
そうですね、多くの業界では、普通…、
お金をかけたら、時間が節約できるはずです。
結果、時間短縮できた物の値段には、時間節約分のお金が上乗せされているはずなのでありましょう。
しかし、不思議なことに、この医療の世界、特に心臓外科学におきましては、よっぽどの時間を節約しない限り、お金は寄ってこないのであります。
ああ、そうでした。「ある限界時間をもってのみ、時間とお金は反比例する」、そう気づきましたのは、ついぞ30年ほど前のこと(榊原記念病院 低侵襲手術書 参照)、そして誠に残念ではありましたが、「時間をかければかけるほどお金は寄ってくる」、「早めに仕舞えば寄ってこない」…、そのように、時間とお金は正比例するものと気づいたのは、つい5年ほど前のことでございました。
さて…、お金の儲け方というものには、
儲けた後にどうなるかという想像力がまず必要です。もちろん、儲けた後にどういう態度を取るかということも…。これらはとっても大切なこと、皆さんご承知の通りです。
そして、遣うべき金と遣わざるべき金を正確に判断して、また、儲けるべき金と儲けざるべき金もついでに判断すること…、これもまたとても大切なことであります。
しかしながら、そんな持って回ったことを外科医が言う時点で、医療って業界は内向きに閉じ始めているのかもしれません…、そう思ってもしまうのです。
さて、そんなカンダで、外科医にとって、大事なこととは何でしょう…?
少なくとも手術の領域では、
「こうやって欲しい、こうなったら最高⤴」っていう、病院側の一定の目的(思惑)があります。
それに対して、もし、手術をする側が、それ以上のパフォーマンスで「あっと言わせる」ことができるのであれば、病院側の心持ちは間違いなく、それこそニヤリと、清々しい方向へと変わります。
このことは、外科医として外せない、大事なお役目でもありまして、何故ならば、そうすることがそれこそ自然に、病院の質も、手術人の質も、そして今までの常識も、ひいては今後の医療の質というものも、根底から変えることになるのです。
そうしますと、これこそが最も大事なのでありますが、
それぞれの職員の心には、病院が儲けようとする際に重視すべきことは何なのか…? そんな命題が浮かぶようになります。
そして、儲けた後の、心の利沢の感じ方、つまり心が豊かになるための真っ当な方策、そんなこともまた、学習することができるのです。
結果、そんな心持ちは必ずや、子どもたちと親御さんの心へとフィードバックすることになろうかと考えます。
お金を儲けるということは、そのような、“簡単にみえて極めて困難なこと”を大切にするから、許されることでもあります。
そこで貧乏神さんにお願いです。大変申し訳ありませんが、貴方のことは決して嫌いではありませんので、もう少しだけご遠慮しといていただければと思います。
前回ブログの締めと同じことを申します。
でもまあ何やかんや言っても、結局は愉しめる人間が一番強いんです。
初めて手術室に入った新人が、「今まで一番楽な自分でいられたと、最初から思えるよう…」、
まずはそう願いつつ…、
高校生へは、そんな思いを前もって教えることで、少なくとも頭で考えることだけに関しては、「全方位敵なし」とさせるような講演をしたいと思っております。
彼ら(彼女ら)には、手術の見た目の良さ、そして、精神からにじみ出る外科医のカッコ良さを存分に、感じて貰いたいと思うのです。
以上、こんなところが今現在の、前もって高校生に伝えたい、「鉄板定番取れ高」概論の前説です。
実に小生らしいとお思いでしょうが、これらのことは、経験上、「この病院がDAISUKI!」という皆の気持ちに繋っていくのです。
続きます。