Doctor Blog

ニュース

循環器産科

2014年5月、榊原記念病院に産科を開設しまして、早7年が経過しました。

循環器専門病院に産婦人科を作った目的の一つは、循環器疾患をお持ちの女性の方が安心して産婦人科診療をお受けいただける場を提供することにあります。現在まで228人が当院にて出産されました。この中には、小生が手術した患者さんも含まれていまして、“長いこと外科医をやってて良かったな”と、今までに実感したことのない医者冥利を感じております。

そして、もう一つの大きな目的は、心臓病を持つ赤ん坊の治療です。
産婦人科医師のほか小児循環器科・循環器内科・心臓血管外科の医師、助産師、看護師、臨床心理士等の多職種によるサポートにより、胎児期から出生後まで切れ目のない医療を提供させて頂いております。
特に遠隔地からのご紹介の場合には、出産後のお母さんを現地に残して赤ちゃんだけ搬送されてくることが度々でした。出産と治療が同じ場所で行えること、お母さんだけでなくご家族の心の安寧ということだけでも産科開設の意義は大きかったと思っています。

このように、母体心臓病と胎児心臓病という二つの大きな目標を掲げていることから、当院の産科は「循環器産科」とも呼ばれる次第です。

さて、胎児心臓病について少しだけ実績を述べたいと思います。
胎児心臓病の診断に有力な“胎児心エコー検査”、現在まで602人(現在妊娠中の方は除く)に施行させて頂きました。出生後の比較的早期に手術もしくはカテーテル治療が必要な心臓病と診断された赤ちゃんは388人です。心臓病専門病院の特徴かもしれませんが、この内、フォンタン手術を目指す病気が195人であり、Norwood手術が必要な左心低形成症候群とその類似疾患が60人、そして無脾症候群が45人でした。
当院での出産および治療を希望されたお母さんは388人中302人となります。
写真は分娩室ですが、実を申しますと、この設計と内装の殆どは小生が手掛けました。
オープン時には、美容室みたいだとか、あまりにもこだわりが強いだとか、妙に外科医っぽいだとか、散々なことを言われておりましたが、今現在、お母さん方に聞きますと、「かなり広く綺麗で居心地が良い」となかなかの評判でございます。最近では普通分娩の数も増加しておりまして、ここはやはり小児心臓外科医のセンス&真骨頂の所以と勝手に自負しております。


※ ベッド左側のパネルは、下段が診療録用モニター、上段では映画などの動画が視聴できます。

さて、産科開設後に感じたことは多々ございますが、
まずはお母さん方に対して、いま現在の正確な情報を提供させていただくこと、取りも直さず極めて大事なことと考えます。何か不明な点などございましたら、ご遠慮なくご相談いただきたいと思います。
そしてそれよりも何よりも当然のことながら、治療成績、特に手術の質を今以上に向上させねばなりません。このこと、お母さん方のお気持に答えるための必須条件であると改めて痛感いたしました。
私どもは、治療を受ける子どもたちの“低侵襲化”を第一に考えてきました。ただ、このことは単に、手術によって身体が受ける侵襲を軽減させるだけではありません。子どもや親御さんを含めた、治療に関わるすべての方々の“心の低侵襲化”も当然含まれております。これが今まで何度も申し上げてきた「総合的な低侵襲化」であります。
榊原記念病院・周産期医療チーム一同、この総合的低侵襲化、今後も発展させていく所存です。