対談
「新春特別企画」でご紹介しました、致知出版社主催の“円覚寺南嶺老師との鎌倉対談”、覚えてらっしゃいますか?
あの思い出の合戦から早9ヶ月、軍扇の振り様と法螺貝の修行をせねばと思いつつも無為に過ごした幾年月でございましたが、それがなんと今回また、同社から対談のオファーを頂いたのです。
あちらさんからの電話の第一声、「対談相手ですが、龍野勝彦先生はご存知でしょうか?」
こちらさんの固唾唖然の第一声、「ウグッ、はあ?」
ご存知もなにも1983年、榊原記念病院に入職した時以来の大恩師であります。しかも今も週一回は、当院にてご挨拶をしております。一体何がどうなって何で…?
どうやら担当者は、龍野先生のご著書に感銘を受けて選定させて頂いたとのことでした。それにしても人の世の偶然とはこんなものかと驚嘆した次第です。某月某日、原宿某所にて相まみえることに相成ったのでありました。
対談テーマは「仕事は祈りである~心臓外科の仕事を通じて知った人間学~」であります。それにしてもまさか小生が、このように時を超えて龍野先生と人間学について話すなんぞ、あのペーペー時代にはついぞ想像できなかったことです。
小生の若手の頃の恥部をすべてご存知の宗匠、冷や汗至極ではございましたが、昔の悲喜こもごもを語り合えることはやはりトンデモナイ慶福、“天に地に人に”感謝するしかございませんのです。心の底から愉しい一時でありました。
ただ外科医としては今なお現役の小生、誠に僭越ではありますが、今後の外科医人生の方がもっと愉しいと信じつつ、加えて、もう少しすると外科学を離れて多少気の利いた小洒落事を思案できると念じつつ、約20年ぶりの表参道を懐かしみながら帰路についたのでありました。
月刊『致知』10月号(9月1日発売)に掲載されております。ご一読いただければ幸甚です。