Doctor Blog

コラム

おせっかいな本棚 その四

《 Ross手術の棚 》
博士号取得へのはるかなる道(どたばた珍道中)、本ブログで紹介させて頂きました。(還暦オーバー医師 学位取得に挑戦する 参照)
思えばずいぶん昔のような気がいたしますが、その当時、あの懐かしのインカの野積みには未発掘のお宝が静かに眠っておりました…。

さてさて、あちらこちらで申してきたことですが、
小児心臓手術は、複雑な手技の組み合わせが多くなればなるほど、また、低年齢で臓器機能が未熟であればあるほど、そして術前の状態が悪ければ悪いほど、手術に伴う身体のダメージが大きくなります。(リスクが高いということです)
従いまして、それぞれの手技に精通し、とにもかくにも時間短縮を目指すこと、また、手術中の生体侵襲を可能なかぎり軽減させて術後の早期回復を促すこと、小児心臓外科医に“必須”の責務ともいえるものです。そしてこれらは、子どもたちの将来のQOL向上にも直結することでもあります。
そうしますと、そのような観点におきましては、我々小児心臓外科医が最終的に目標とすべき究極の手術は、本ブログでも紹介させて頂きました、新生児期のRoss手術ということになります。(この手術、欧米からは比較的多くの報告がありますが、先天性心疾患手術の中では最もリスクが高いとされております。それだけ多くの、克服すべき多くの課題と獲得すべき知識と技術が必要という訳です)

実を言いますと、“榊原記念病院・低侵襲手術書”は、この“新生児期Ross手術の征服”をイメージしなからまとめさせて頂きました。「Ross手術攻略本」といっても過言ではありません。
小児心臓外科医としては最大限の気合注入が必要な手術でありますし、また、この手術を入院から退院までチームとして滞りなく仕立て上げること、病院の大事なステイタスの一つともいえます。
Ross手術の棚には、学会での発表資料、手術ビデオ、博士号論文、それに関する重要文献など、Ross手術で押さえておくべきポイントが短時間で把握できる品々を収蔵しました。
この“Ross手術の棚”は、“低侵襲手術書の棚”とともに、このおせっかいな本棚の中で最もお節介な棚であります。

さて読者の皆さん、真面目なお話し、そろそろ退屈されていることとお察しいたします。

写真は、“学位授与までの軌跡(奇跡)”と題した、博士号豪華記念本であります。
この唯一無二の初版本には、学位申請から、英語試験、論文作成、公開発表会、学位授与に至るまでの悠遠なる流れを存分に満載いたしました。(学位論文だけでなく、申請書、英語試験受験票や合格発表の掲示板、書き直し理由が書かれた講評書類や質疑応答メール、公開発表会スライド、発表会場への案内ポスター、合格通知表、学位記を持ったドヤ顔の小生など、飽きやすい外科医の高揚とメランコリーを記した恥ずかしき足跡です)
その仕様および墨跡はご想像の通りでございますが、かなり真面目にふざけた趣意となっております。
従いまして、人目に触れますと、多少の方々に(93%位…)ご迷惑をおかけする様子が予想(霊視)できますので、公開は今しばらく遠慮させていただきます。(目次だけ、開示いたします)

はじめに 学位授与への遥かなる道第I章 学位取得の準備

  1. 学位授与までの流れ、申請資格、提出書類
  2. 外国語試験
    受験願書、案内状、試験問題
    合格発表、雑感
  3. 倫理審査および提出書類c
    倫理審査通知書、学位申請書、論文目録、履歴書

第Ⅱ章 学位論文 初回提出

  1. 論文要旨、英文抄録
  2. 本文、図表
  3. 第一回審査委員会 講評と回答

第Ⅲ章 学位論文 修正提出

  1. 論文要旨、英文抄録
  2. 本文、図表
  3. 第二回審査委員会 講評

第Ⅳ章 公開論文審査会、合否報告

  1. 通知、発表会場
  2. 発表スライド、発表原稿
  3. 学位論文審査結果要旨
  4. 合格報告、授与式の案内中止のお知らせ(COVID19)
  5. 新履歴書

跋文 還暦博士の誕生
謝辞

続きます