おせっかいな本棚 その二
《 マスコミの棚 》
今回、読者の皆さんにお届けする写真ですが、その選択に苦労しております。
と申しますのも、
皆さん、ご存知のように、テレビにしろ、新聞にしろ、掲載された映像や写真を勝手に使用することはできないのです。
先般の低侵襲手術書には、榊原記念病院の重鎮たちが参加したある式典の某テレビ局映像、そこから起こした写真を1枚だけ載せたのですが、その許諾には膨大な時間と少なからずの掲載費用が必要でした。
また、個人情報保護の観点では、取材や撮影現場で撮ったスナップ写真でも、一緒に写っている方々のすべての許諾が要りますし、お化粧のりが悪いなどと、先方が気に入らなければ使えないのです。
また、さらに…、医学論文の投稿や教科書の執筆においてもすべからく同様であります。
他人のデータを引用する申請はもちろん必須なのですが、たとえ自分自身の論文であっても、また、たとえ自分自身が作った図表であっても、学会や出版会社の許諾が無ければ新たには使用できません。“自分のものを自分で使用しても良い”という、神の啓示のような許諾に至るまでには、執筆そのもの以上の長い時間と労力が必要となります。
少なくとも自分のデータを使うことだけに関しては、もう少し寛大かつ簡便(勘弁)なご配慮をして頂きたいものです。
段々と“人生幸朗さん”っぽくなって参りました。しかしながら…、
執筆を依頼される時や、取材および撮影を受ける時に頂くそちらさんからのご対応と、
こちらから許諾をお頼みする時に頂くそちらさんのご対応の間には、あまりにもかけ離れた印象があるものですから…、つい……。
また、現在執筆中の低侵襲手術書の英語版においても、小生自身が全部の許諾を新規に取得しなければなりません。苦手な英訳の苦労以上に大変な思いをしておりますものですから…、ついつい…。
しかも…、今回も印税は無いもののですから…、ついついつい…、
なお、前述した高額の掲載費用が必要であった某写真、英語版では絶対に使用しないこと、モチのロン心に固く誓いました。
さて…、マスコミの棚に並ぶ品々、いくつか紹介させて頂きます。
・賛否両論かつ喧々諤々の、例のこっ恥ずかしいテレビ映像、
(そういえば、“きょうの健康”に出演した時のビデオは行方不明となっていました。収録の日、NHKの食堂でラーメンを食べました。廊下を西田敏行さんが歩いていました。)
・24年前、京王線新宿駅キオスクの新聞コーナーに、小生の顔がパラパラ漫画のように並んだ、“低体重児の無輸血手術成功”を報じた新聞、
・有名芸能誌にも劣らない表紙であると、一部の手術マニアの間で激賞された月刊誌、
・もう少し売れて欲しいと心から神さまにお願いしている、“仕事の流儀”、(加えて、英語版が出る前に、もう少し売れて欲しい“低侵襲手術書”)
・当時は若かった小児心臓外科医たちの写真付き座談会報、などなど。
また、珍しいところでは、榊原記念病院の開院を報じた、ちょっと怪しい40年以上前の週刊誌もありますし、修行時代の若かりし小生の写真も、非公開ながら隠し扉に収蔵しました。(これらも、恐るべしインカの野積みからの出土品です)
※ところで、キオスクとキヨスク、どちらが正しいのでしょうか?
しかししかし、捨てる神あれば拾う神あり、恐らくは、日頃の行いが良いのでしょう、
ブログ掲載をすぐに許諾して頂いた出版社がありました。写真は、医療新聞社の“名医のいる病院2021”の表紙です。
この巻頭部分に小生の特集を組んでいただきました。その中には、軽音楽部時代の演奏写真もあり、ツイストの世良公則さん、サザンオールスターズの桑田佳祐さんに対する、“当時の嫉妬心”がメラメラと控えめに綴られています。
テレビ局、学会、出版社の皆さま方、小生、“独特な物言いから物議を醸す外科医”と称された外科医であります。大変不躾な発言、平にご容赦頂きたいと存じます。
続きます。