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コラム

インカ野積み崩し①「高井研一郎先生 その二」

高井研一郎先生を、読者の皆さまはご存じでしょうか?

ビッグコミックで連載された『総務部総務課山口六平太』を描いた漫画家です。

 

2000年頃だったと思います。

西調布に、“しげ”という名の居酒屋がありました。

極めて上手い焼き鳥、もつ焼きを食わせる、西調布管内では泣く子も黙る、知っている人は多分知っているという超有名店です。

主人は、“加藤さん”という、これまた、泣く子も笑うと称された超有名人、煙が充満する店内は、いつも常連客であふれていました。

 

その加藤さんいわく、“今度、調布の漫画家と呑むから一緒にくるかい?”

“…行く行く!”

 

その焼き鳥“しげ”から約3m歩いた西調布の某すし屋での待ち合わせです(今思えば、行動範囲の狭い呑み方を繰り広げていたものと感心します)。

そろそろ夕暮れを奏でる宵の口の三味線が鳴り響くころ、白いジャケット姿の痩身のその男がさっそうと現れました。

止まり木に座るやいなや、突然のマジック披露、なんじゃ、このおっさん??

 

でも、高井研一郎先生のことは、デビュー作の“リコちゃん”から、もちろん六平太に至るまで、実は良く知っていたんです。(さらけ出しますが、小生、学生の時からかなりの漫画マニアで、希少本を探す旅に出たこともあります。当時の自宅は、漫画のインカ野積み状態でした)

高井先生は、自分以上に自分を知る若者(当時の小生、まだ若者です)にビックリされたようで、結局、翌朝近くまで杯を傾けることになりました。

 

その時に、ココロヨク(恐らく…)描いて頂いたのが(目はすでに完全に据わっていましたが)、小生の似顔絵です。

小生、ここがチャンスと、“じゃあ、今度、このキャラクターで六平太に出して頂戴!”と一人団交しました。

朝方3時ころになりまして、ようやく、“わかった、わかった”と承諾を取り付けました。

でも、残念ながら約束は実行されておりません。

 

これが、高井先生と過ごした初めての夜であり、そこから、研ちゃん、ユキちゃんの迷コンビが、調布の街を闊歩することになります。

 

なお、焼き鳥“しげ”の加藤さんは、六平太の上司、有馬係長のモデルとなった人物です(当然ですが、そっくりです)。

加藤さんは、高井先生から、六平太に登場するキャラクターが描いてある色紙をプレゼントされたそうで、有馬係長のイラストを除く4枚の色紙は、今、小生の自宅のベッドサイドに鎮座マシましております(平成元年吉日のサインがあります)。

 

次回、最終稿南の島の物語です。

 

奄美、加計呂麻島です。