Doctor Blog

コラム

手術雑感4 ~手術のストレス その1~

今まで何度も質問を受けました。
“手術中心の生活においてストレス解消はどうされていますか?”、
“辞めたいと思ったことはないのですか?”
 
多くの職種において、各世代の人間が成長する段階で必ず一度は感じることだと思います。その殆どには共通する要因があると考えています(他人の心無い言動です)。
でも一般的に、皆でサポートすることは中々困難であり、個々人にでしか解決できないことが多すぎます。
 
このご質問を最初に頂いたのは、医療を目指す中高生への講演会でした。相手は中学校3年生の女子生徒でしたので、それはそれは優しく、安全管理の方々のように多少上から目線で、そして、彼女が今後もまっとうで幸福な社会生活を送ることができるように祈りながら、真面目な話をトツトツとさせて頂きました(この内容に関して、もしくは他のご質問への返答などの今までの面白話は、今度小生の自叙伝的な本が出版されることになりましたので、どうぞそちらをご参照頂きたいと思います)。
 
でも、上手くは話せません。実を言いますと小生、あまり深刻にストレスを感じた思い出が無いのです。
そりゃあ人間ですから、胃が痛くなったり、病院に向かう足取りが重くなることはもちろん多少はありましたが、太田胃散を飲めば治りますし、いざ手術に入ると気持ちはもう手術だけ、終われば達成感と納得感、後は風呂入って少しだけ “お神酒” を頂いて寝るだけです。
(こう書きますと何だか本当につまらない人生のように段々思えてきました…、そういえば、新宿の某飲み屋で “あなた本当に専門馬鹿ね” と、若いおねえさんに真顔で言われたことがあります…、この当たりも是非拙著をお読みください)
 
皆さんからストレス解消のお話を求められることは、仕事人として多分に認められた結果であろうなどと妄想してしまいます。その都度カッコよくお答えしようと努力はするのです。
 
しかし、特に同業者や目上の方に対してご説明することはなかなか難しい(そういう質問に上手く答えることができない自分の中では、“ストレスも感じない感受性の無い奴”、“人の痛みが分からない無趣味人間” と自分を卑下することになり、これがストレスかと、約5分ほど眠りに落ちる時間が遅くなることも事実です)。
 
でも最近、ようやくですが、“これがストレスか” という極めて人間的な感覚に浸っている自分を発見してしまいました。それは一体何でしょう? 
 
続きます。

中高校生への講演会です。