Doctor Blog

コラム

手術雑感2 ~COVID-19 その3~

手術雑感のシリーズの最後に、黄昏(セピア)外科医からの世迷言です。

教育・診療方法・経営などの医療のさまざまな側面で、欧米の考えやスタイルを取り入れ、医療が大きく進歩した一方で、無くしちゃいけないものを随分と無くしてきたような気がしてなりません。これは私の偏見かもしれませんが、「手術は上手くなければならない、だからこういう修行が大事だ」という感覚も無くなるのではないかと心配しています。

かと言って、古くさいばっかりのものを自慢気に話すことも野暮というものでしょう…。古いものが変わらずにあるということ(即ち良きものであるということです)、あまりいじらないことも大事かと思います。 無くさずに取っておくことが…。
もちろん、古いものは気を使ってメンテナンスというものをしてあげないといけません。でも、その古いものから誰かが新しい匂いを感じてくれるかもしれません(…実は小生、断捨離がなかなかできません)。

今まで、手術室において、変わっちゃ困るものを守って、変わらなければならないものをきちんと変える、そして、それでもなるべく変わらないように、色んな問題を相手にしてきたつもりです。
自分の国の特徴ある大事な医療や精神の根本的な良さを知らないと、次のステップは無いような気もしています。

手術は、手の術(すべ)と書きます。人の手で行うもの、このCOVID-19の時代だからこそ、むやみにITに走るのではなく、人の使命感の重要性をまず考えるべきと思います。医療というサービスの基本を忘れてはいけません。
規則規則、改革改革と、知らないうちに盲目的に変えられて、毎回びっくりすることはもうまっぴら御免です。

読者の皆さん、外科医が真面目な話をするということ、とてもお付き合いできないとお感じでしょう? 当方の広報には改めて言っておきます。

でもまあ、少なくとも宅飲みすること、出歩かないこと、このことがコロナの感染リスク回避につながるのであれば、小生本気で「新しい生活様式」を考えなくてはなりません。(これ書きながら既に宅飲みしています…)。

榊原 仟 先生です(旧榊原記念病院正面玄関にて)