Doctor Blog

コラム

手術雑感 2 ~COVID-19後 その1~

病院の広報担当から、たまにはブログにマジメな話を、と毎日突かれています。

 

でも外科医が真面目な話をすることは、もしかしたらとんでもない迷路(睡路)になだれ込む可能性が高く、読者の皆さんはもちろん、筆者自身の頭も東京ドームシティのジェットコースター状態となりそうです。

 

外科医は本来、根は真面目なんです…。

それでは皆さん、さてさて、少し真面目な話をしましょう(懲りない外科医ですみません)。

 

心臓に携わる、ある医療関係者からのお話です。

“のCOVID-19時代の経験から、もしかしたら、心臓の医療は大きく変わるのではないでしょうか。“

 

もちろん、COVIDに対する治療には予防策の開発はもちろん、今後とも継続していかなければなりません。それとともに、病院に足を運べない他疾患の患者の治療にも目を配らなくてはなりません。テレワークだけでは十分ではないという問題も出てくるでしょう。

しかしながら、今現在においても、心臓病の発生数そのものは変わらないと思うのですが、何故か緊急を要する、もしくは症状が急に進行する患者さんが滅法少なくなった印象があります。この要因として、もしかしたら不要不急の外出自粛、3密制限という対策が逆に功を奏しているのかもしれません。

COVID-19は、日本人の健康や生活習慣という問題を考え直すきっかけとなるのではないでしょうか。」

 

医師を目指す高校生からの質問です。

「このコロナ時代のテレビで、医療に関わる人手不足やベッド数不足という話がよく流れます。私の祖母は週に一回、電車に乗って外来通院しています。でも今は、電話診療と投薬だけで、むしろ遠出しない分、もしくは待ち時間が無い分、体調は良さげに見えます。実を言いますと病院から疲れて帰ってくることが無くなりました。

もちろん直接診療して頂くことの意義は理解しているつもりなんです。でも、必要性もしくは回数という意味で、今の診療に少しだけ疑問を持ちました。例えばAIやITなど、新たな観点での技術を応用した医療への貢献方法に関して、もっと議論があってもいいのではないでしょうか。」

 

6月5日のNHK番組「首都圏情報 ネタドリ!」(この番組で、当院がコロナ禍で循環器救急を行う病院として紹介されました)でも放映されたように、COVID-19の治療を行えば、病院は赤字になる、逆に行わなくても赤字になる、ホントに何だかな~という感じです。

医療従事者それぞれが目指す、それぞれの理想の医療には、それぞれにお金が必要となります。

ですから、借金してもその医療を行おうと考える、まっとうな医療人は努力します。長期的に先を見据えて皆集まって努力するのです。

そして借金返済という大きな足かせがあったとしても、多少の黒字であれば、まだまだ理想が続くと信じて、さらなる理想を求めて頑張るのです(診療報酬はとどまりを知らず下がっていくようにも思えますが。。。

もちろん、一般の人が考える経営というものは、あくまでもプラスマイナスの世界、借金を最初から繰り返すという医療者の感覚はまっとうな経営にはそぐわず、“何やってんだかな~” というご感想を持つのかもしれません。

 

でもでも、このような時代でも、ホンマモンの医療従事者の使命感をなめちゃあいけやせん。(本当は少し疲れていますが…)、でもやっているんです。

 

続きます。代々木にあった旧病院です。