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コラム

63歳還暦オーバー医師 学位取得に挑戦する② ~外国語試験を受ける~

令和元年7月1日、小生にとって学位取得の最大の難関、秋季外国語試験の日がついにやってきました。つつじヶ丘駅北口から8時ジャストに発車する三鷹シティバスで杏林大学三鷹キャンパスに到着後、試験会場の医学部講義棟3階第2講堂へ向かう。ありゃ、誰もいない。早く来すぎた。どうも相当に緊張しているようです。

 

9時20分あたりから徐々に受験者が入室してくる。9時35分には約10人全員の受験生がそろい、3人掛けの机中央に分かれて着席しました。机の間が広い! 小生の受験番号は101番、最前列で試験官の目の前である(ちょっと怖い…)。後ろを見渡すと20歳台前半の若者だらけ、とうに還暦を過ぎた小生にとっては、孫に相当する若輩者ばかりである。しかもみな、何だか頭が良さそう。現役の時の大学受験の嫌な思い出が頭に浮かびます(見事に落ちて一浪しました)。

 

「試験開始」の声がいやに大きく教室に響きました。前日に調布の文房具店で買った消しゴム付きの鉛筆を握りしめ“一時間の勝負”へいざいざ。お~っ! 超ラッキー! 英語問題の内容は“耐性菌についてのコラム”である。なんとすべてが簡単に読めるではないか。英和辞書の持ち込みなんて必要なかった! と自然に顔がほころびました。約1か月間の英文読解修行の効果がいかんなく発揮できている。よし、まずは選択問題を片付けよう。お~っと、簡単だ! 完成まで約15分。試験開始から30分間は試験室を退出できないという決まりであるが、この調子だと30分もかからないか?  ウフフ…、しめしめ。

 

次は英文和訳に取りかかろう。超簡単じゃん。と若者的に思いながら書き始めたとたん、突然筆が進まなくなった。う~ん、これは困った。なんと漢字が書けない……。平仮名で書こうとしたがあまりにも間抜けな文章となるし、解答の最後に“自分は帰国子女だからごめんなさい”と書いてもすぐに嘘がばれそうだし…。あっ、そうだ、辞書があった。英単語を辞書で引いてその日本語訳の漢字を解答用紙に写すという“青天霹靂的神さま降臨のアイデア”が、なぜかぽっかりと頭に灯る。俺って頭いい。そう思いながらさっそく“英和辞書からの漢字写し”に取りかかる。しかし、辞書なんて最近まともに使っていない。焦って手が震える。辞書の中の漢字をとにかく写しまくるが、持参した辞書の文字の小さいこと小さいこと。何じゃこりゃー。老眼にはこたえる。刻々と時間は過ぎてしまう…。結局日本語訳解答を書き上げたのは試験終了間際でした(ほとんどは漢字に変換できました)。

 

「終了」と試験官の声が鳴り響く。小生の肉体および精神は、新生児のRoss手術を行った直後以上に既にLOS状態、いやはや疲れ果てました。今から病院に帰らなければならない。帰りのバスの中で、今度は絶対に試験官になってやる! と固く心に誓いました。

 

次回、続きます。

 

榊原の庭にも春が来ました!