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コラム

63歳還暦オーバー医師 学位取得に挑戦する① ~学位取得を思い立つ~

昨年の今ごろのことです。63歳になり定年もマヂカというのになぜか、“医学博士号”の取得に挑戦してみようと考えるようになりました。他人が聞いたら「マジか?」と思われることでしょう。しかし、これはどうも天からの啓示に違いありません。言い訳をします。日頃の臨床の中で、“これは面白い”、“これは新しい発見だ”と考え、論文ネタにしようと勝手に盛り上がっても、次の週には飽きて面白さが半減し、“こんな事当たり前じゃん、何で今まで気付かなかったの?”と気持ちが冷めてしまう、そして次の新しい興味事がすぐに見つかる、結果、今までこのような繰り返しばかりであった気がします。また、大変失礼ですが、論文を投稿しても、“査読者の先生の意見に納得できない”、“話しがかみ合わない”、そして“面倒くさくなる”。全くもって嫌な性格だと自分でも思いますが…。結果、今まで受諾掲載された論文は数編のみです。

 

もちろん、大学卒業以降、学位取得を考えなかった訳ではありません。準備する時間もしくは大学院に通う時間がとても取れなかったことはもちろんありましたが、大学に残った同期生達が話す博士号というものに全く魅力を感じなかったことが最大の理由です。これは心臓血管外科医の認定資格や専門医資格の取得も同様で、自分が信じる本来の専門的手術を行うために修行すること、また、手術を多くやれることが本当の専門職だと生意気に考えていまして、つい多くの資格取得をおろそかにしていました(戯けた若輩であったと激しく反省しております…)。

 

それがなんと、還暦を過ぎてついに学問的欲求が覚醒しました(少し暇になったことが本当の理由です。)この感覚は実に不思議なもので、いざ始めると“自分にはこんなにも知的好奇心があったのか”と、新たな自分を発掘してしまいました。学位論文は、杏林大学医学部心臓血管外科の非常勤講師をしていたこともあり、同大学の窪田 博主任教授に相談致しました。もちろん大学院に通うことは現実的に不可能ですので、所定の研究歴などの条件があれば論文を仕上げて取得することができる乙種の学位です。

 

この後数回に分けて、還暦をとうに過ぎた心臓外科医が学位を取得するまでを書き散らします。