道中二足の草鞋|11. 中高生
最近は、中高生への講演も多くあります。その場合は敢えて、医学生や一般の方々とほぼ同じ内容で話すことにしております。
ですから、「少し早すぎる、無理がある」などと言われることも多々ございます。しかし、大人の方々には申し訳ありませんが、むしろ中高生の方が実に興味深い反応を示してくれます。
特に講演後に送られてくる感想文の内容やいただく質問には、目を見張るものがありますね。
そこには、われわれ大人には無い、遊びと芸、そして祈りを感じます。変わりたいけれども、まだ変われそうもない…、いや、あくまでも変わらないという青春特有の生意気な心意気を感じるのです。
「大きな価値感を引き出します…」
『 前もって知るべきことは前もって知る、この考えは今も変わりません。ですから、今現在、最も大切と思うことを遠慮なくお話させて頂くのです。
しかし、「ある時期が来るまでは知らない方が良い」、もしくは、「知ることでむしろ成長が阻害される」、これらの思いは当然あることでして、特に中高生への講義では、「ここまで喋って良かったのか」、「ここまで見せて良かったのか」と、毎回、反省するのです。
ところで、講演を聞く側にとって、最も大切なことは何でしょう。
この齢になって考えますに、どうやらそれは、知識欲や探究心を満足させることだけではなさそうです。
むしろ、演者自身が心から愉しむ姿勢や、今までの生き様への態度、講演に望む覚悟など、つまり、演者の歴史の中に息づく専門性と知恵、そして人間性…、そこに聞く側は共感を覚えるのではないか、だからこそ、聴講者は学問の次の段階を想像できるようになる、そう思います。要は、思考と所作の連鎖です。
そんなところで、今しばらくは、神主らしさを纏わせながらも精いっぱい外科医らしく、胡散臭い歴史を喋り尽くすことにいたしましょう。 』