道中二足の草鞋|17. 切り替え
69前のことは、もはや切り離してしまいましょう。
そうすれば、これから知ることが億劫にならなさそう…、少しだけ誇らしい気持ちにもなれるし、エセ人生師と呼ばれても我慢出来きそう、そう思えるのです。そんな環境には夏風邪の付け入る隙も無さそうですね。ゆるりとした毎日が過ごせそうです。
今はもう、左隣の席をちょっと空けておく、そんな気分です。呼び寄せたいという気持ちだけがそこにあります。時間が止まるという感覚までもがポイと出てきそうです。そうですね、やるべきは、「必要以上に天気を言い当てる元気な爺さん」と呼ばれないようにするだけのことです。
ところで、あの時、沢山の笑いと涙をくれた古希同窓の皆さん、お元気でしょうか。
そろそろ心の健康を考えるお年頃ですよ。
病は気からです。まずは誰も損も得もしない延岡系という若作りをしてみましょう。傍から見ると多少は滑稽でありますが、じっと我慢しましょう。根性とプリントされたTシャツだけ、遠慮すればいいのです。
そしてもし、病院にかかるのであれば、普通じゃない医者がいる病院を選びましょう。小生に任せればくれれば、足三厘をマッサージしてくれるような優しいところを内緒で紹介してもいいですよ。
それでも病院が嫌だったら、神社に行きましょう。
最近、ある生きの良い神主がお神酒繋がりになりましてね。多少年食っていることは我慢してもらうとして、お祓いはいつでも頼むことが出来ます。…「えっ…、あー、そのことですか」、それは心配しなくていいですよ。ご祈祷料金はお気持ちだけでいいのです。「えっ…、小生とどちらがご利益があるかって?」 そうですね、まあどっこいどっこいってとこですか。それでも三鷹近辺では、小生の人気がやや高いのですがね。さて、どちらにします? 当然、答えは一択ですよね。
『未来は明るくもあり暗くもあり、張り切ってはいるのだけど、古希最初の痩せ我慢気分は、多分にあの高校時代の始まりと同じか…、多分に不安と期待が満載だろうね。誰か未来を見せてくれないかな。
大切なことは、今日寝る前に、明日の目覚めを自分でも羨ましいと思えるようにすることだけなのさ。そう言うと上だけを気にする井蛙と言われそうだが、寝耳に水、これだけに気を付ければいいんだ。そうすれば、夢にも思っていなかった奇跡らしき出来事が出現するかもしれない。もちろん、微睡む必要はないんだ。二度寝できない自分を恥じる必要もない。そうだな、少しだけ打たれ強さを見せればいいのさ。そうすれば、面倒な説明はせずとも、素直に進めそうな気がしてくると思うよ。
まあ兎に角、すべてを大目に見るんだ。勿論、しつこいと嫌われることもあるかもしれない。でもあっさり却下されることだけは無さそうだね…。ああそうか、イケる口になればいいんだ。お得なキャラにでもなれば、その分、仲間は増えるのだろう。そうだな、何だかしっかりと祈祷できそうな気がしてきたよ。最近、御神酒がらみの神事だけはお得意になったのさ…。
ああこれもそうだった。今の内にブログ・ファイルの虫干しをしておこう。
頭の中の秘密を天日干しするには、ようやくいい時分が来たと思えるんだ。そうすれば、自分の深層を見抜くことが出来て、再びナチュラルにお喋りしたい欲求に駆られるかもしれない。無論、さほど強い意思ではないけどね。それにしても不思議だね。俺たちの目標は、もはや成功なんかじゃない。さらに経験を積み重ねることだけなのさ。
ところで、古希が古希でいる価値って何だ?
それは、一つを選んだから一つを捨てる、そんなもんじゃないし、もちろん、やり切ったと目くじら立てて自慢することでもない、ただ、時が経っていくだけだな…。今は少しだけ、69以前に「有難う、御免なさい」と言っておけばいいのさ。
さてさて、そんなことはどうでも宜しく…、大瀬橋から見える川面が橙色から薄紫色に染まり映る頃、そこからが俺たちの出番だ。本日はまさしく同窓会日和、どんな物語が生まれるのかは此れからのお楽しみってとこか。でも全く想像できないなあ。しかし、そんな気分もまた幸せなことなのさ…。』
「何を持たせても似合うタイプなんです…」