手術室 番外編 愛情
読者の皆さま、大変申し訳ございません。前回ブログのオンエア直後に“ヤツ”からラインが…。
ただ、スマホ画面に映るのは、「???」…のみ。
解説させて頂きますと、
心臓外科医の?は、「さっぱり分からん」
心臓外科医の??は、「ええ加減にせえよ」
心臓外科医の???は、「もうちょっと何とかせんかい」
心臓外科医は悉く‘’縦社会‘’、従いまして僭越ではございますが、そろそろと番外編へと突入させて頂きます。
もう暫く、お付き合いのほどを宜しくお願い申し上げます。
さて、
“昭和”と聞いて思い出すのは、ナポリタンとメロンクリームソーダ…、ちなみに小生は、アイスクリーム“かき混ぜ派”ではありません。
そんな昔の、手術三昧の日々…、
その当時は、チームにとって大事なことばかりを考えていた気がします。
でも、その大事なことは、その当時に大事であったことに過ぎず、後々振り返れば、とっても大事なことではないのです。
そして、その当時からもう少し時間が経ちますと、懲りずにまた、その時点でとっても大事なことを考えるのでありまして…、でも、再び振り返れば、これまた、とっても大事ではないと実感するのです。
それはまるで、同じメビウス環を廻り廻って戻ってくるようなもの…、いくつかの時点でのその当時は、その繰り返しの連続であったことをよく覚えております。
しかしながら、そんな“時の流れに従う”考えは、それぞれに面白く、多少はアップグレードしていきます。
それぞれの“大事なこと”は、それぞれの時代の必要性によって導き出され、そして、それぞれの時代で締めくくられたもの…、謂わば、それぞれの時代の「思し召し」なのです。
ですから、極めて稀なことではございましたが、幸運にもそのループから、ハッとするような「妙案」が飛び放たれていくのでありました。
さて、外科医の場合、
その飛び出すきっかけは、何処らへんに転がっているのでありましょうか。
そういえば、あの時、“ヤツ”はこう言っていました。
『もしも、出会うべくして出会う人が増えれば、チームには、さほど嬉しいことは増えないが、少なくとも“さほど愉しくないこと”は減っていく。
そうだな、でも、このことは間違いなく、「懐う」ことからしか生まれない…、だからこそ、その度ごとに、チームとして最も大事なことを“言葉で表す”ことが大切なんだ。
俺たちロートルは本来、会話するってこと自体が年の功なんだが、
それでもやはり、チームには、「少しだけ間を開けて喋る」、「少し待って、考えてみる」、そんな、ちょっとだけ気を使う“物言い”が大切かな…。
しかし一方で、少しだけ心に入れておくことは、手術のスキルそのものが向上するというか、直接、補足運動野に語り掛けるというか、そんな「攻撃的な話っぷり」もあるということ。
できれば、かなり複雑な手技を行う時、あるいは、ある一人のスタッフだけを叱咤育成したい時に是非欲しいなっていつも考えているんだが、これが中々見つからない…。
この‘’話っぷり”、ある世界においては、“言霊”とも言われているらしいが…、そうだな、しつこく探していればいずれ何処かに転がっているかもしれないな。
まあ、そんなとこかな、チームの中から「ハッと」が飛び放たれるのは…。』
♨
何かを始めるには、優しくも厳しくも、何かしらの“言いよう”、というか、結果オーライの会話センスが大切ということなのでありましょう。
確かに、その始まりが無ければ、例えどんなに大事なことであっても「ハッと」せず、「その時だけ大事だった」、「いつまで経っても平穏無事の進捗無し」で終わるのかもしれません。
でも、そんな“ヤツ”のお話は、ちょっと意外でしたね。
でも、うーん、そうか…、
やっぱそれは、若手への『愛情』なんでしょうね。決して“ヤツ”には似合わないものではありますが、だからこそ、妙でリアルな感情が湧き上がってしまったのかもしれません。
♨♨
そしてまた、「そんな話は今まで聞いたことが無い」という小生のツッコミに対し、「だって今まで言ったこと無いし、聞かれたことも無い」などと、ドヤ顔で返す“ヤツ”、
そうですね、そんな“ヤツ”を見ていますと、定年を過ぎて下り坂とされる人生もまた、「けっこう面白いかも」と思ってしまいます。
でもまあ、それなりのお歳なのでありますから、
有り得ないモノまで見えるようになったら、外科医人生、早々にお開きとしましょうね。
もう一つ、特別番外編へと続きます。