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コラム

インカの野積み崩し② 「対義語 その一」

インカの野積み崩し、発掘されたブツの中で抹殺すべきものは、シュレッダーの中へと既に消えていきました。
 
同時に、当時、子どもの心臓手術には「これこそが大事」と考えて、それに賭けまくって研究してきた資料や発表原稿が、とめどもなく出現してきます。 この中には、今では当たり前中の当たり前として確立されたエビデンスとなっているものも多くあります。
新たな工夫を臨床に応用することで、臨床データの明らかな改善を認めた時の仲間たちの喜び顔、そして、その時の赤ん坊の顔が、その過程とともに目に浮かびます…
 
そのとっかかりのアイデアとなった記録や基礎データを処分することは、既に一つの論文や報告書として残ってはいるものの、その時の苦労の思い出を消し去るようで…、 
…アンニュイな気分とはこのことでしょうか?
 
“インカの野積み崩し”、それはそれはまさしく、新たな自分探しのタイムマシン旅行のようです。
こうやって、読者の皆さんに、以前の自分のことを語る(騙る)ことは、久しぶりに昔の自分に再会したようで、
さらに、デジャヴュが現実として蘇るようで、何故か愉快で懐かしい気分でもあります。
 
時間の流れというものは、愉しかったことも悲しかったことも分け隔てなく消え去るようにさせるものかもしれません。 
しかし、愉しかったと信じるものはなるべく形として後世に伝えることも大事かと思います…、
でも、そんな事を考えているから単に断捨離できなくなるのでしょう。 
さてさて、傷心の心臓外科医、心を鬼にして、インカ崩し、張り切って続けましょう !
 
続きます。

1990年代に開発した、世界一小さいポンプのプロトタイプと設計図です。